修理のために漆器をお預かりすると、およねは新聞紙で包みます。
「……なんで新聞紙なんだろう?」
漆器を包むなら、それなりの紙があってもよさそうなもの。和紙とか、包装紙とか。なのに、新聞紙。
しかも、かなり古い新聞だったりすることも。
でも、新聞紙はちゃんと役目を果たします。適度な柔らかさがあって漆器を傷つけにくいし、何枚か重ねれば、器どうしがぶつかるの防ぎます。そして何より、身近で、惜しげなく使うことができます。昔の人は、特別なものを買わなくても、身の回りにあるものを上手に使っていたんですね。
「新聞紙、なかなかやるじゃない」、およねは、少し見直しました。読み終わった新聞が、今度は漆器を守る。ものには、最後まで使い道があると思うと、新聞紙で包まれた漆器が、ちょっと誇らしげに見えてきます。「新聞紙さん、ご苦労さん」およねは今日も、漆器をそっと包み直すのです。
ただし、お直しが終わった漆器を包むときには、ひと工夫。まず柔らかい白い薄紙で包み、その上から新聞紙で包みます。新聞紙のインクが漆器に直接触れないようにするためです。大切な漆器を守るのも、
最後はちょっとしたひと手間なんですかね。




