ご挨拶

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店主挨拶店主画像漆芸しばたが開店してお蔭様で四十年の月日が経ちました。その間多くのお客様や漆器と出会い、様々な思い出を共有させて頂くことが出来ました。
その中に、漆器修理の仕事をしていく原点となった二つの出会いがありました。一つは、『人に喜ばれる仕事を』との助言をしてくれた壮年の男性のお客様との出会いです。
その男性は「ご近所を大切にしたい」と、御多忙で大変な中、開店して間もない時から何度もお店に足を運んでくれ、数限りない激励をして下さいました。現在でも親交を続けさせて頂いております。

もう一つは、一人のご夫人のお客様との出会いです。「お客様の声」にて掲載させて頂いておりますが、戦後の動乱を生き抜いて帰国されたご夫人が、亡きご主人の形見だからとばらばらに壊れたお重をお持ちになったのです。

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昭和五十五年頃の当時は、高度経済成長期の真っ只中でした。漆器は飛ぶように売れる時代で、修理など誰も目もくれませんでした。しかし、この二つの出会いが輪島の職人たちに「仕事の合間だけでも」と頼みこむ後押しをしてくれたのです。実際に「漆器修理」の業務を始めてみると、修理の御要望は想像を超えるほど多く、お客様がどれだけ漆器や思い出を大切にされているかを痛感致しました。

そのような中で全国伝統的工芸品センター(現・伝統工芸青山スクエア)から「漆器の無料相談」をして欲しいとのお声をかけて頂いたのです。漆器クリニックが開設されると、ありとあらゆる産地の漆器が一度に輪島に集まるようになり、職人たちには大変な苦労と、難題を与えてしまいました。が、そこは輪島の職人たち。持ち前の職人魂と高度な技術を駆使して何度も乗り越えてくれました。

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大切な漆器を信頼して修理を任せて下さったお客様。またそれに全力で応えてくれる輪島の職人たちがいたからこそ、長年やってこれたと深く感謝しております。

『日本の大切な伝統工芸である輪島塗を守りたい』
『大切なお客様の思い出の品を守りたい』

この思いで今日までやって参りました。

これからもいつまでも初心を忘れずに
皆様の大切な漆器と共に歩んでいく所存です。

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